一次試験突破法-2

適正科目で不合格になる人は、試験制度を全く知らず勉強もしない人だけです。

2017/06/26

適正科目について説明する技術士のイメージ

適正科目

前回、一次試験の受験科目をご紹介しました。
この中で「適正科目」と言う少し変わった試験科目があります。

問題を見てみましょう。
以下27年度の問題です。

I -3 技術者の国際的同等性を確保する取組に関する次の記述のうち,最も不適切なものはどれか。

① 我が国において,大学等の高等教育機関の工農理系学科で行われている技術者育成に関わる教育の認定を行う機関として日本技術者教育認定機構(JABEE)がある。技術者教育は国際的同等性を確保することが重要であり,そのため技術者教育認定の国際的枠組みに加盟している。エンジニアリングではワシントン協定,情報系はソウル協定,建築ではUNESCO-DIAに加盟し,これらの協定に準拠した基準で審査を行う。

② JABEEで認定された教育プログラムを修了・卒業すると,文部科学省所管の技術士制度における技術士第一次試験が免除され,自動的に技術士補となる。

③ 国際エンジニア協定( IPEA)に加盟している各エコノミー(固と地域)の技術者団体は,加盟エコノミ一間で合意された一定の基準を満たす技術者を,各国において国際エンジニア登録簿に登録を行うこととしており,我が国では技術士をこれに登録し,登録された技術士をIPEA国際エンジニア(旧称: EMF国際エンジニア)と呼ぶ。

④ 太平洋を取り囲む固と地域の経済協力枠組みであるアジア太平洋経済協力(APEC)の制度参加国・地域が共通に定めた登録要件を満たす技術士,建築士をAPECエンジニア,APECアーキテクトといい,登録されると参加国・地域間で技術士・建築士として同等の能力を有すると評価され,共通の称号であるAPECエンジニア, APECアーキテクトを名乗ることができる。

⑤ APECでは二国間で合意すれば,相手国・地域における業務免許に必要な技術的能力の審査をお互いに免除することもできる。我が国は,豪州、との間で, 2003年に技術士資格,2008年に建築士資格について,それぞれ相互承認に関する覚書を取り交わし,2009年にはニュージーランドとの間で、建築士資格について同様の覚書を取り交わしている。

正解は②です、②の「自動的に技術士補となる。」が間違いです。これは技術士試験制度のことを訊いています。ですから、知識がなければ解答できないでしょう。技術士補は今後無くなる可能性がありますが、一次試験がなくなることはありません。
要するに、一次試験に受かるあるいは、「JABEEで認定された教育プログラムを修了・卒業」しても技術士補に登録する人がほとんどいないのです。誰も使わない制度なら管理コストを掛けることが無駄です。
このような技術士に関する制度のことを問う問題も少し調べればすぐに分かることです。

技術者倫理を問う問題

さらに、技術者倫理を問う問題はもっと簡単で常識の範囲です。
例えば同じ27年度の試験問題です。

Ⅱ -4 技術者倫理と法との関わりに関する次のア)~エ)の記述について,正しいものは〇,誤っているものは×として,最も適切な組合せはどれか。

ア)技術者倫理では,法を守ることは当然のこととされているが,技術者は,それに加えて,法の網の目をくぐってコストを削減することも考えなければならない。それによって安全性を犠牲にすることになったとしても,法には反しておらず,問題はない。

イ)社内で法令違反があるときには,発覚して公になることは社のダメージになるので,「やったことより見つかることの方が問題であるJという考えを社内で共有し,今後の再発防止に努めることが肝要である。

ウ)法を守るのは当然のことであるが,技術者のような専門家,専門的知識を持つ者には,それに加えて高い倫理観が必要であるとされる。たとえ法による規制がない場合でも,公衆に対する危険を察知したならば,それに対応する責務が技術者にはある。

エ)法を守るのは当然のことであるが,法の専門家などによく相談することも大切である。そして法に不合理な点があると信じれば積極的に法の改定について意見を述べていく気概が求められる。

この問題を読んで、下の〇×表の何番が正解なのかを解答するのですが、上の文章でア)やイ)が正しいと思う人がいたらその人は危険です。
特に若い人なら絶対に×を選ぶはずです。
それだけで、解答は③と⑤に限定できます。あとはエ)ですが、これも常識だけで分かるはずです。〇ですよね?
つまり正解は③です。

適正科目で不合格になる人は、試験制度を全く知らず勉強もしない人だけだと思います。
決して難しい制度ではありません。
これが適正科目です。
合格できる自信が沸いてきましたか?

No Image 匠 習作(たくみ しゅうさく) プロフィール

1962年生まれ。北海道函館市出身。本名は菊地孝仁。1988年より医療機器メーカーに勤務し、1991年20代で工場長に就任する。2014年までの23年間、医療機器製造工場の生産管理、人材育成、生産技術に携わる。2012年技術士機械部門、総合技術監理部門を同時に合格し、2016年に独立。

次世代のエンジニアを育てるべく、技術士試験対策講座を主催する。日本で初めてグループウェアを使った通信講座であり、分かりやすい解説、講師と受講者1対1を大事にする指導で人気講座となる。また、科学技術全般を、一般の人・子供向けに分かりやすく説明するサイエンスカフェなども自主開催。機械学会・失敗学会では、事故事例の研究などを行い、これも一般の人向けにセミナーなども開催している。

匠習作技術士事務所代表技術士
プロフェッショナルエンジニア養成コンサルタント、医療機器業界転進コンサルタント、医工コーディネーター日本技術士会会員・日本機械学会会員・失敗学会会員、人工知能学会会員、日本医工ものづくりコモンズ会員、日本シャーロックホームズクラブ会員、放送大学大学院在学中

『講師匠習作の技術士応援ブログ』は、スタディング受講者様へお送りしたメールマガジンの内容をウェブ用に一部抜粋・編集して掲載しております。