iDeCo(イデコ)とは?
教えて!ファイナンシャル・プランナー(FP)

話題のiDeCo(個人型確定拠出年金)について、ファイナンシャル・プランナー(FP)が解説します。iDeCoの概要やメリット・デメリット、節税の具体例などを短時間で読めるようにまとめています。

ファイナンシャル・プランナー(FP)が、話題の用語・制度について解説します。
今回のテーマは「iDeCo」です。

目次

  1. iDeCoとは
  2. 確定拠出年金とは
  3. 企業型と個人型
  4. iDeCoのメリット
  5. iDeCoのデメリット
  6. 節税の具体例
  7. まとめ


iDeCoとは

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金のことで、節税しながら老後の資産づくりができる個人向けの年金制度です。iDeCoは、英語表記の individual-type Defined Contribution pension plan の一部から名づけられた愛称で、「i」の部分には私や個人型という意味合いも込められています。

以前は自営業者など一部の人しか加入できませんでしたが、2017年(平成29年)1月の制度改正により、対象者が拡大し、企業年金(企業型確定拠出年金)に加入している会社員や、公務員、専業主婦(主夫)なども新たに制度を利用できるようになりました。(※企業年金に加入している人は、企業型年金規約でiDeCoに同時加入してよい旨を定めている場合のみ利用できます。)

加入者が毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された定期預金・投資信託・保険などの金融商品で自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。



確定拠出年金とは

そもそもの確定拠出年金について、確認しておきましょう。

確定拠出年金とは、掛金の「拠出」額を一定額に決め、その運用実績に応じて給付額が決まる年金制度です。

確定「給付」年金では、「給付」(年金の受取り)が確定しているため、予定の運用成果を上げられないと給付のための資金が不足し、企業が追加拠出を迫られることがあります。

一方、確定「拠出」年金では、「拠出」(掛金の支払い)が確定しているだけで、給付額は個人の運用成果に応じて変動するため、企業の追加拠出はありません。

つまり、確定「拠出」年金は、個人がリスクを負う年金制度といえます。



企業型と個人型

確定拠出年金には、企業型と個人型(iDeCo)の2種類があります。

企業型では、企業が従業員の同意を得たルールに基づき年金制度を作ります。原則として、企業が掛金を支払い、従業員一人一人が運用方法を運営管理機関(銀行、証券会社、保険会社など)に指示します。ただし、規約に定めた場合は、加入者個人も拠出することが可能です(マッチング拠出)。

企業型の場合、掛金の拠出限度額は、導入されている企業年金制度の状況により異なります。企業が確定給付型の企業年金を実施していない場合は月額55,000円まで、実施している場合は月額27,500円までです。

個人型(iDeCo)では、個人が自分の意志で加入します。個人が自ら拠出限度額の範囲内で掛金を決め、毎月一定額を支払い、運用方法を運営管理機関に指示します。

個人型の場合、掛金の拠出限度額は、加入者の状況により異なります。自営業者等の場合は月額68,000円(年額816,000円)まで、企業年金制度がない会社員や専業主婦(主夫)の場合は月額23,000円(年額276,000円)まで、企業型に加入している会社員の場合は月額20,000円(年額240,000円)まで、公務員等の場合は月額12,000円(年額144,000円)までです。




iDeCoのメリット

iDeCoには、以下のようなメリットがあります。

①掛金が全額所得控除

iDeCoの掛金は、全額、小規模企業共済等掛金控除の対象となり、所得から差し引かれます。
なお、国民年金基金連合会から、毎年10月に小規模企業共済等掛金払込証明書のハガキが自宅に送付されます。このハガキを、年末調整の場合は給与所得者の保険料控除申告書に添付し申告することで、確定申告書の場合は確定申告書に添付し申告することで、所得控除が適用されます。

②運用益は非課税

iDeCoの運用益は非課税となります。一般的に、投資信託の分配金や売却益、定期預金の利息には20.315%の税金(所得税・住民税・復興特別所得税)がかかりますが、iDeCoで運用した場合、税金はかかりません。
また、この運用益を再投資することで、大きな複利効果も得られます。複利効果とは、運用で得られた利益(利息や分配金)をさらに投資することで、利益が利益を生む効果をいいます。運用益に税金がかからない分、再投資の効果が大きくなるのです。

③受取時にも控除あり

iDeCoの運用資産を受け取る際にも控除が適用されます。一時金で受け取る場合には退職所得として退職所得控除、年金で受け取る場合には雑所得として公的年金等控除の適用を受けることができます。

④掛金は月額5,000円から自由に設定できる

iDeCoの掛金は、月額5,000円から、1,000円単位で自由に設定できます。また、掛金の額は年1回変更することができます。資金に余裕がない人でも、上記の控除や非課税のメリットを受けつつ、老後資金の準備をすることができます。なお、平成30年1月から、掛金の拠出を1年の単位で考え、加入者が年1回以上任意の月にまとめて掛金を支払えるようになっています。



iDeCoのデメリット

一方、iDeCoには、以下のようなデメリットがあります。

①原則60歳まで引き出せない

iDeCoの主な目的は、老後の資産づくりです。そのため、原則として60歳まで運用資産を引き出すことができません。ただし、意志の弱い人でも老後資金を貯めることができるともいえます。

②手数料がかかる

加入時、運用期間中(毎月)、受取時にそれぞれ手数料(口座管理料)がかかります。加入時は3,000円程度、運用期間中は毎月数十~数百円程度、受取時は400円前後です。
例えば、30歳から60歳までの間に、加入時2,777円、運用期間中に毎月167円の手数料がかかると、30年間トータルの手数料は、2,777円+(167円×12ヵ月×30年)=62,897円となります。
また、投資信託で運用する場合には、運用管理費用(信託報酬)も別途かかります。ただし、iDeCoで運用する投資信託の場合、一般の投資信託に比べると、運用管理費用が低いものも多く取り扱われています。



節税の具体例

iDeCoポータルというサイトでは、節税額のシミュレーションをすることができます。
例えば、年収500万円の30歳会社員(企業年金なし)が、毎月20,000円の掛金を60歳になるまで積み立てた場合、節税額は、年間48,000円、30年トータルでは1,440,000円になります。
また、課税所得600万円の40歳自営業者が、毎月50,000円の掛金を60歳になるまで積み立てた場合、節税額は、年間180,000円、20年トータルでは3,600,000円にもなります。



まとめ

iDeCoは、節税メリットを受けながら老後の資産づくりができる私的年金です。各種の控除を受けつつ、運用益が非課税になり、掛金も比較的少額からスタートできるなど、魅力の多い制度です。ただし、原則60歳まで引き出せず、手数料がかかります。また、運用成績や手数料の観点から、金融機関や運用商品の選択も重要です。
高齢化が進行する中、iDeCoは、国民年金や厚生年金と組み合わせて、より豊かな老後生活を送るための資産形成方法の一つとして、より重要性を増していくでしょう。


※本記事は、2018年(平成30年)6月時点の税制・制度に基づいて作成しております。あらかじめご了承ください。

※本記事の全部または一部を無断で転載することを禁じます。


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節税メリットシミュレーション(iDeCoポータル)


執筆 松原 明壱(まつばら ひろかず)

CFP®、1級FP技能士
1980年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
予備校勤務・塾講師を経て、大手通信教育会社にて10年間FP講師を務める。
これまでにFP試験合格者を多数輩出。会計・税務・株式投資の分野にも精通。
常に初学者と同じ目線で考え、問題解決することを心掛けている。

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