行政書士になるためには?試験の概要を解説

行政書士試験の概要について教えてください。

法律系国家資格で、間口が広く、汎用的な知識を身につけられるものは、行政書士ではないでしょうか。
一方、試験に出題される範囲も広く、効率よく勉強を進めないと、「法律学の森」に迷い込みがちです。

そこで、今回は、行政書士試験の概要と、短期合格のコツをお伝えします。


行政書士試験の出題範囲は?

出題範囲は大きく分けて2種類があり、「行政書士の業務に関し必要な法令等」と「行政書士の業務に関連する一般知識等」があります。

どちらの分野も、行政書士として仕事をやっていくために最低限必要な素養を備えているかを試すために設けられています。


法令等

「行政書士の業務に関し必要な法令等」としては、以下の5科目から出題されます。

  • 基礎法学
  • 憲法
  • 行政法
    (行政不服審査法、行政手続法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法など)
  • 民法
  • 商法


一般知識等

「行政書士の業務に関連する一般知識等」としては、以下の4つの分野から出題されます。

  • 政治経済社会
  • 情報通信
  • 個人情報保護
  • 文章理解


行政書士の受験資格

年齢、学歴、国籍等に関係なく、誰でも受験することができます

資格試験には、学歴や、職歴などにより、受験に制限が制限がかけられているものもありますが、行政書士試験は、誰でも受験することができますので間口が狭い他の国家試験といえます。最年少では14歳の合格者もいます。

誰でも挑戦しやすいということも、行政書士試験が人気がある理由の1つといえるでしょう。


行政書士試験の試験日程

毎年11月の第2日曜日に行われます。年1回の実施です。

試験時間は、午後1時から午後4時までの計3時間です。


行政書士試験の合格発表

例年、概ね試験の翌年、1月31日に合格発表があります。

試験実施団体である「一般財団法人 行政書士試験研究センター(※1)」の事務所掲示板、及びホームページに掲載されます。

なお、合格した方については、2月に合格証が届きます。


行政書士試験の具体的内容

試験科目 出題形式 出題数 満点
法令等 択一式 5肢択一式 40問 160点
多肢択一式 3問 24点
記述式 3問 60点
46問 244点
一般知識等 択一式 5肢択一式 14問 56点
合計 60問 300点


出題形式別の配点

出題形式は大きく分けて、「5肢択一式」「多肢択一式」「記述式」の3種類があります。

「法令等」の科目では「5肢択一式」「多肢択一式」「記述式」の全ての形式が出題されます。

「一般知識等」の科目では「5肢択一式」のみが出題されます。

それでは、3つの問題形式を見ていきましょう。


「5肢択一式」形式

「5肢択一式」とは5つの選択肢の中から正しい選択肢を選ぶ、マークシート式の設問です。

配点は、1問4点です。

[例題]
内閣に関する憲法の規定の説明として正しいものはどれか。

1  内閣総理大臣は、衆議院議員の中から、国会の議決で指名する。
2  国務大臣は、内閣総理大臣の指名に基づき、天皇が任命する。
3  内閣は、衆議院で不信任の決議案が可決されたとき、直ちに総辞職しなければならない。
4  内閣は、総選挙の結果が確定すると同時に、直ちに総辞職しなければならない。
5  内閣は、総辞職の後、新たに内閣総理大臣が任命されるまで引き続き職務を行う。

※行政書士試験 平成26年度 問題6より

「多肢択一式」形式

「多肢択一式」とは複数の選択肢の中から正しい選択肢を選ぶ、マークシート式の設問です。

配点は、1つの解答欄につき2点です。

[例題]
次の文章の空欄 【 ア 】 ~【  エ 】 に当てはまる語句を、下記の選択肢(1~20)から選びなさい。

行政上の義務違反に対し、一般統治権に基づいて、制裁として科される罰を【 ア 】という。【  ア 】 は、過去の義務違反に対する制裁である。【 ア 】 には、行政上の義務違反に対し科される刑法に刑名のある罰と、行政上の義務違反ではあるが、軽微な形式的違反行為に対して科される行政上の【 イ 】 とがある。【  イ 】 は、【  ウ 】 という名称により科される。普通地方公共団体も、法律に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に ウ を科す旨の規定を設けることができる。【 ウ 】 を科す手続については、法律上の義務違反に対するものと、条例上の義務違反に対するものとで相違がある。条例上の義務違反に対して普通地方公共団体の長が科す【 ウ 】 は、【  エ 】 に定める手続により科される。

1 強制執行 2 科料 3 強制徴収 4 過料 
5 行政事件訴訟法 6 禁錮 7 行政罰 8 執行罰 9 即時強制 10 非訟事件手続法 11 直接強制 12 地方自治法 13 行政刑罰 14 代執行 15 課徴金 16 刑事訴訟法 17 罰金 18 懲戒罰 19 秩序罰 20 行政手続法

※行政書士試験 平成25年度 問題42より

「記述式」形式

「記述式」とは問いに対し文章を書いて回答する設問です。例年「40字程度」という制限があります。

配点は、1問20点です。

[例題]
Aの指輪が、Bによって盗まれ、Bから、事情を知らない宝石店Cに売却された。Dは、宝石店Cからその指輪を 50万円で購入してその引渡しを受けたが、Dもまたそのような事情について善意であり、かつ無過失であった。盗難の時から1年6か月後、Aは、盗まれた指輪がDのもとにあることを知り、同指輪をDから取り戻したいと思っている。この場合、Aは、Dに対し指輪の返還を請求することができるか否かについて、必要な、または関係する要件に言及して、40字程度で記述しなさい。

※行政書士試験 平成25年度 問題46より

配点表の形でまとめると、以下のようになります。

試験範囲ごとの配点

試験科目 出題形式 問題数 配点 出題形式ごとの配点 試験科目ごとの配点
法令等科目 (244点) 基礎法学 5肢択一式 2問 4点 8点 8点
憲法 5肢択一式 5問 4点 20点 28点
多肢選択式 1問 8点 8点
行政法 5肢択一式 19問 4点 76点 112点
多肢選択式 2問 8点 16点
記述式 1問 20点 20点
民法 5肢択一式 9問 4点 36点 76点
記述式 2問 20点 40点
商法 5肢択一式 5問 4点 20点 20点
一般知識等科目 (56点) 政治経済社会 5肢択一式 7問 4点 28点 56点
情報通信・個人情報保護 5肢択一式 4問 4点 16点
文章理解 5肢択一式 3問 4点 12点
全合計点 300点

※試験実施年度ごとに変わることもあり、当該受験年度の正確な配点を保証するものではありません。あくまで目安として捉えてください。

法令等科目

基礎法学

例年「5肢択一式」が2問出題され、2問×4点=8点が配点です。

憲法

例年「5肢択一式」が5問、「多肢選択式」が1問出題され、(5問×4点=20点)+(空欄4個×2点=8点)=28点が配点です。

行政法

例年、「5肢択一式」が19問、「多肢選択式」が2問、「記述式」が1問出題され、(19問×4点=76点)+(2問×空欄4つ×2点=16点)+(1問×20点=20点)=112点が配点です。

民法

例年、「5肢択一式」が9問、「記述式」が2問出題され、(9問×4点=36点)+(2問×20点=40点)=76点が配点です。

商法

例年、「5肢択一式」が5問出題され、5問×4点=20点が配点です。

一般知識等科目

政治・経済・社会

例年、「5肢択一式」が7問出題され、7問×4点=28点が配点です。

情報通信・個人情報保護

例年、「5肢択一式」が4問出題され、4問×4点=16点が配点です。

文章理解

例年、「5肢択一式」が3問出題され、3問×4点=12点が配点です。



合格基準

次の要件を全て満たす形で得点を取る必要があります。

  1. 法令等科目の得点が、122点以上である。
  2. 一般知識等科目の得点が、24点以上である。
  3. 試験全体の得点が、180点以上である。

つまり、二段階の足切りがあり、合計点を突破しなければなりません。

例1

法令等科目で160点、一般知識等で24点(合計184点)

合格

例2

法令等科目で184点、一般知識等で20点(合計204点)

不合格

例3

法令等科目で118点、一般知識等で52点(合計170点)

不合格

例4

法令等科目で122点、一般知識等で56点(合計178点)

不合格


一般知識等で満点をとっても、法令等科目が要件(1)ギリギリしか取れていないのであれば、要件(3)を満たさず不合格になります。

逆に例1のように、法令等科目で要件1.を大きく上回る高得点を取っていれば、一般知識等の得点が要件2.がギリギリになってしまっても、要件3.を満たしやすくなります。

このような配点の特徴から、法令等科目の対策に重心を置いて勉強することが、行政書士試験を安定して突破するための基本学習方針になります。一般知識等科目で満点近くを取ることはあまり考えずに、法令等科目を中心に勉強していきましょう。


出願期間と受験料

行政書士試験の出願期間は、試験のおよそ2ヶ月程前には、出願が締め切られてしまいます。

年に1回しかありませんので、余裕を持って、出願するようにしましょう。

例年、8月上旬から9月上旬までの間に、郵送あるいはインターネットでの出願を受付け。受験料は7,000円です。平成29年度の受験申込受付期間は以下の通りです。

  • 郵送申込み:平成29年8月7日(月)~9月8日(金)消印有効
  • インターネット申込み:平成29年8月7日(月)~9月5日(火)午後5時



短期合格のコツは?

先述の通り、配点の少ない「一般知識等科目」よりも、配点の多い「法令等科目」の方により重点を置いて勉強することが、基本学習方針になります。

さらに「法令等科目」の中でも特に配点の高い行政法(計112点)、民法(計76点)を集中して勉強する必要があります。
これら2科目の対策を万全にしないことには、合格は難しいでしょう。

法律の勉強は範囲を絞らなければ、無限にできてしまいます。「法律学の森」に迷い込んでしまい、いつまでも試験に合格できない人は意外と多いのです。短期合格のためには、自分がやるべきこととやる必要のないこととを截然と分けることが重要です。


勉強の流れとしては、以下のように進めると効率が良いでしょう。

  • 行政書士試験のテキストを読むなどして、法律の体系的知識をインプットする
  • 試験の形式が定まってきた平成18年度試験以降の過去問(※2)を時間を計って繰り返し解き、正答率を高めていくことで、試験本番の時間感覚を養う
  • 直前期には模擬試験を受験したり、予想問題集を解くなどして、未知の問題に対応できる応用力をつける

(※2)平成18年度以降行政書士試験制度が大きく変化したため


(※1一般財団法人行政書士試験研究センター

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